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コラム

【レポート】2019年1月21日 羽生善治先生による「第111回 一燈塾」を開催しました。

2019年1月21日、徳真会クオーツタワーにて棋士の羽生善治先生による第111回一燈塾が開催されました。テーマは「AI時代の未来」。

講義の概要

講演テーマ

「AI時代の未来」

講師プロフィール

羽生 善治(はぶ よしはる)

1970年 埼玉県所沢市出身。6歳から将棋を始める
1982年 6級で二上達也九段に入門
1985年 15歳で四段に昇段しプロ入り
1989年 19歳で初タイトル竜王を獲得
1996年 当時の7つのタイトルをすべて獲得
名人、竜王、棋聖、王座、王位、棋王、王将の7つの永世資格を持つ(襲名は引退後)
2018年 国民栄誉賞受賞

案内チラシはこちら(PDF)

レポート

前回おこしいただいた際は、棋士として、勝負についてお話いただきました。今回は「AI時代の未来」というテーマのもと、前回とは少し毛色の違ったお話をいただきました。

ボードゲームにみるAIの進歩

前半は、AIのルーツ、歴史のお話から始まり、ボードゲームにおけるAIの進歩についてお話しいただきました。二十数年前は、100万局面以上のデータベース、1秒に2億局面読むハードウェアが存在するも、一つ一つの局面を様々な基準から“評価する”ことが苦手だったそうです。その後、画像認識の技術が向上すると、“将棋を指す”という観点から、“正方形の空間における動きを捉える”という観点に転換し、大きな進歩を遂げたそうです。進歩の次元がダイナミックな点が、大変興味深かったです。

他産業とのコラボレーションに大きな可能性

後半は、一般社会におけるAIの未来についてお話いただきました。日本においてAIは、農業や漁業の分野で伸びるのではないかとおっしゃっていました。これらは、感覚的に実行することはできても、言葉や数値に置き換えるのが難しいこと(暗黙知)を扱う分野です。そして、このようにAIは、AI単体として進歩するのではなく、他の産業とのコラボレーションによって進歩するのではないかという見解を示されました。そのコラボレーションの在り方を生み出すことに、人間の大きな可能性があるのではないかとおっしゃっていました。

まとめ

講義の中で何より印象的だったのは、将棋の世界には「棋は対話なり」という言葉があり、対局中は相手と会話している感覚があるのに対し、AIとの対局にはそれがない、というお話でした。

AIなどの最新技術の進歩、研究動向に対する鋭い視点と、自らの専門分野における研ぎ澄まされた感覚が、羽生先生の、人々に感動をもたらす偉業を生み出したのだと思いました。